国内で2年ぶりにポリオウイルスワクチン株を検出(熊本)

2014年12月に熊本市で生後3ヶ月の男児からポリオウイルス1型ワクチン株が検出されました。
男児は、2014年10月31日に下痢と発疹で発症し、医療機関を受診した結果、診断名は感染性胃腸炎でした。検体は糞便(11月4日採取)で、感染症発生動向調査事業の検体として搬入され、Vero E6、HEp-2、RD-Aの3細胞に接種しウイルス分離を試みました。RD-A細胞で2代目(1週間ごとの継代)にCPE(cytopathic effect: 細胞変性効果)が認められたことより、エンテロウイルス属の中和試験を行ったところ、エンテロウイルスNT試薬「生研」混合D(Polio-1,2,3)において中和されたため、マイクロ法によるポリオウイルスの同定およびPCR-RFLP法を用いたポリオウイルスの型内株鑑別試験などの追加試験を行うと同時に、熊本市保健所感染症対策課へ患者の疫学情報の収集を依頼したました。

日本国内では野生株のポリオウイルスによるものは1980年の1型ポリオの症例が最後で、2000年10月には、日本を含む西太平洋地域全体でのポリオ根絶宣言がなされました。しかしパキスタン、ナイジェリア、アフガニスタンは2015年現在でもポリオの流行国であり、これらの国々や隣接する周辺の国々においても、野生株、ワクチン株由来のポリオウイルスによる患者の発生が見られています。

ワクチン株由来のポリオウイルスによるものをVDPVといい、ワクチン株が長期間伝播する間に変異を蓄積し、野生株と同様の性質を持つに至った場合のことを言います。日本では、野生株あるいはVDPVが検出された場合、ポリオ症状が発症しているかどうかにかかわらず、感染症法に基づく2類感染症として、診察診断した医師は、届け出基準に基づき直ちに患者・無症状病原体保有者の全数を届け出る必要があります。

今回の男児の事例は、2014年10月にエジプトへの渡航歴があり、現地で経口ワクチン(OPV)を接種しており、海外でワクチン接種を受けた後にワクチン株ポリオウイルスが検出された感染性胃腸炎事例であり、VDPVでもワクチン関連麻痺等ポリオ症例でもありませんでした。

ポリオウイルスは、乳幼児が集団生活をおくる保育園や幼稚園などで、糞口感染が起こりやすいことから、集団生活に入る前の乳幼児に対してはワクチン接種が重要になってきます。

海外ではまだポリオの流行国もあることから、今後もワクチン株やVDPVや野生株ポリオウイルスが国内に輸入されることは想定されるので、予防接種を受けることで、接種率を高く保ち、また抗体の保有率を高く保持することが大切だと思われます。

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